

見て・聞いて・遊んで・学んで・・・
子どもたちに本の楽しさ、読書のよろこびを伝えたい。
それにはまず、身近によい本をそろえてあげることが大切です。
大人が見てよい絵本とこどもが見て良い絵本は、必ずしも一致しません。こども目線で選定され、43年の実績のある、「ほるぷ」こども図書館、必ずやご満足いただけると思います。

●良い絵本ってなんでしょう?
図書館の推薦図書や、雑誌の紹介を残らずチェックするなど、苦労して『良い絵本』を選び出している方も多くいらっしゃいます。
でも、「せっかく、良い絵本を選んであげたのに、ちっとも読んでくれない」となげく声も聞こえます。
これは、その絵本が、その時の子どもの気持ちや興味に合っていなかったからなのです。
よく、絵本の裏表紙に『一才から』などという適正年齢が書かれてありますが、これはひとつの目安です。
本を読む習慣のなかった子に、いきなりその年齢用の絵本を与えても、まったく読めないということがよくあります。
逆に、小さいころから本に親しんできた子どもは、自分の年齢よりずっと上のクラスの絵本を楽しむことができた、ということもよくあるのです。
また、いくら『良い』といわれている絵本であっても、その内容が、子どもにとって、まった興味のないジャンルであったら、読もうとしません。
どんなに良い絵本を選んでも、それが子どもの心の成長や興味にあっていなければ、その子どもにとって本当に『良い絵本』だとは言えないのです。それは小さすぎたり大きすぎたりする服を、子どもに着せるようなものなのです。
子どもに必要なのは、次々に変わるさまざまな興味の対象や、成長の過程に、すばやく対応できるような、『さまざまなジャンルの、良く選ばれた、たくさんの本が身近にあり、子どもがすぐ手にとれる環境』そのものなのです。
そんな環境が整ってはじめて、子どもは本に深く親しむことができるようになります。
ここで、その『本のある環境』をつくるための、三つの大事な条件をあげてみましょう。
●第一の条件=『質』
絵本には『質』があります。ただ、「絵本であれば良い」ということにはなりません。絵本の『質』を考え、良い絵本を選び出してあげる必要があります。
良い絵本とは、一口でいえば、『見ているだけで、物語の展開がイメージできる絵』と、『リズミカルで、やさしく心に響く文学性豊かなことば』がとけあった絵本のことです。
『かわいい』とか『きれい』という絵に、必ず子どもが関心を示すかというと、そうではありません。逆に親が書店で絶対に選ばないような」絵本でも、子どもが喜ぶことが多いのです。
本当に子どもの気もちが分かり、そのときどきの興味や好奇心、感情などに同調してくれるような絵本。そんな絵本の『質』をまず考えてほしいのです。
●第二の条件=『量』
一歳の誕生日に、急に一歳らしくなる子どもはいません。子どもはさまざまな体験をとおして、日に日に成長していくものなのです。その成長過程において絵本はおおきな役割をもっています。
たとえば、動物園にいった日には、動物の出てくる絵本に興味を示し、雪の降った日には、雪の出てくる絵本に興味を示します。また、子どもには、必ず自然科学の本に興味を持つ時期があるのですが、その時には昆虫や植物の本に夢中になることでしょう。
生活の中での体験を絵本の中でもう一度、また事前に体験・確認することで、子どもの情緒や感情、知識が、より深く、育っていくのです。
そんな子どもたちの多様な体験・興味に、いつでもすばやく対応するために、いろんなジャンルの本を、身近にたくさんそろえてあげることが必要です。
『与えすぎ』ということはありません。
絵本の世界をせまく区切ってしまわず、できるだけたくさんの絵本との出会いをつくってあげてください。
それは、子どもの成長・発達の可能性の幅を大きく広げてあげることになるのです。
●第三の条件=『読み聞かせ』
しかし、この二つの条件は基本にすぎません。それを完成させ、本当に子どものためのものにするためには、もうひとつの条件が必要です。
それは、親が子どもに読んであげるということです。
絵本は親が子どもに読んであげる本です。子どもは親に読んでもらうことがたのしいのです。そして、そのふれあいをとおしてこそ、子どもは本に親しむことができ、親子の絆を強めることができるのです。
読み聞かせの楽しさを知った子どもは、毎日たくさんの本を、「読んで!」と持ってくるようになるでしょう。
お母さん、お父さん、それにひるまず読んであげて下さい。毎日、読んであげることで、子どもの読書の世界が広がり、親子の関係が深まっていくのです。
絵本は大きな力を持っています
●『絵本』って何だと思いますか?
子どもに向かって、「絵本って何だと思う?」と質問をすれば、すぐに答が返ってくるでしょう。「絵の本でしょ」
そのとおり! 『絵本』とは、その名のとおり『絵の本』なのです。
大人は本を読むとき、活字からストーリーを展開しようとします。そういう習慣が身についてしまっていますので、絵本を読むときも、まず文字に目を走らせてストーリーを読み、それを絵で確認する、という方が多いのです。子どもは、逆に絵を見て、ストーリーを読もうとするのです。つまり、絵本とは、子どもが見て、ストーリーを頭の中に思い描けるような絵の本なのです。
では、絵本の『文字』には、どういう意味があるのでしょうか?
絵本に書かれている文字は、基本的に子どもが読むためのものではなく、お母さんやお父さんが子どもに読んであげるための、いわば映画や劇のシナリオみたいなものなのです。
お母さんやお父さんが心をこめて読んであげることで、「活字」は命をもらった「ことば」にかわります。その「ことば」は、子どもの心に素直に流れこみ、絵の世界でのイメージを大きくふくらませてくれるのです。
つまり、『絵本』とは、親が子どもに読んであげる本なのです。このことをまず、理解してほしいと思います。
●絵本をいつから与えていますか?
絵本が子育てにとても良いことが広く知られるようになり、「子どもに絵本を与えたい」と考える親が増えてきました。でも、「いつぐらいから絵本を与えてあげれば良いのかな?」と悩んでいる方も多いようです。
「絵本に興味をもちはじめたら」「字が読めるようになったら」という方は多いのですが、一歳に満たない赤ちゃんに絵本を与える方は、まだまだ多くはないようです。
でも、お母さんやお父さんは、赤ちゃんが生まれた瞬間から、無意識になにかと話しかけてあげるものです。そして、赤ちゃんは、ちゃんとその語りかけに反応して、笑ったり、声を上げたりできるのです。そういう交流をとおして、赤ちゃんは、ことばを自然に身につけ、感情や心を豊かにしていくのです。
絵本には、「早すぎる」とか「遅すぎる」ということはありません。できれば赤ちゃんの頃から、そして、小学生になっても、お母さんやお父さんが読み聞かせてあげてほしいのです。
●絵本は『ことば』を育てます。
「幼児期からの学習が大切」ということが、よく聞かれるようになりました。
確かに幼児期は、人間の脳の大部分が形成される段階で、さまざまなことを吸収し、身につけていきます。
でも、「分かるから」「覚えられるから」と、無理に教えこもうとすると、子どもに文字や言葉に対する抵抗感をつけてしまうことになりかねません。
この時期に大切なのは、無理に言葉を教えることではなく、自然に『ことば』に親しむことのできる環境をつくってあげることなのです。
子どもは、親から『ことば』を受け継ぐものです。普段から、やさしく豊かなことばをたくさんかけてあげることで、子どもはやさしく豊かなことばを身につけていくことができるのです。
絵本には作家が考え抜き、心をこめた、やさしく、美しい、豊かな『ことば』があふれています。
ですから、赤ちゃんや幼児期のころから、多くの絵本を読んであげてほしいのです。絵本の美しく、豊かなことばは、お父さんやお母さんの声をとおして、子どもの心に深く入りこみます。
無理に教えるのではなく、親の声をとおして自然に『豊かなことば』を身につけることこそ、本当に『ことば』をおぼえるということではないでしょうか。
●絵本は『想像力』を育てます。
最近、子どもの『想像力』や『集中力』が弱くなったと、小学校の先生方などからお聞きすることが多くなりました。
たとえば、小学校一年生の授業時間は、四十五分ありますが、子どもたちが集中している時間は、何分ぐらいだと思いますか?なんと、たったの五、六分しか集中できない子どもが多いそうです。これは先生のお話の内容が理解できないために、授業がおもしろく聞けないからなんですね。また、算数の計算は得意でも、文章問題などの応用問題ができないこどもが増えているそうです。
『人の話を聞いて、理解する力』、『本を読んで、その内容を理解する力』、つまり、『想像力』や『考える力』が育っていない子どもが増えているのです。
ひとつの原因として、現代の『テレビ環境』の問題があげられると思います。
テレビはラクで楽しいものです。ただながめているだけで、勝手に画面は流れ、物語を展開していってくれます。自分で情景を想像したり、ストーリーを考えたりする必要はまったくありません。つまり、テレビは、まったくの『一方通行』なのです。気にいった場面があっても、すぐに次の画面に移ってしまいます。分からない」ことばがあっても、テレビに話しかけ、聞くことなんてできません。見る者が、情景を想像したり、次の場面を考えたり、といった働きかけが不要なのです。
特に、脳の基本をつくりあげていく幼児期に、テレビ中心の生活を送った子どもは、『想像力』や『考える力』が育ちにくく、人の話を聞いたり、文章を読んでも、その内容のイメージを頭に描くことができないのです。
それに比べて絵本には、見る者、読む側からの働きかけがあります。
気にいった絵があれば、いつまででもながめていられます。分からないことがあれば、読んでくれている人に聞くことができます。子どもの心のリズムや気持ちに、絵本は自然な形で、つきあうことができるのです。
子どもは、親が読んでくれることばを聞きながら、絵を見てストーリーのつながりを考えます。その時、静止しているはずの絵本の絵が、それを見る子どもの頭の中で自由に、イキイキを動きまわっているのです!
そういう体験をたくさん与えてあげることで、子どもの『想像力』や『考える力』が育っていきます。そして、それらがすべての基本となって、人の話を聞く力や、理解する力、思考力、つまり学力の基礎が育っていくのです。
●絵本は『豊かな心』を育てます。
さて、『想像力』や『考える力』と同じように、いえ、もっと大切な基本となるものがあります。それは、『感情の豊かさ』『情緒の安定』、つまり子どもの心を、どれだけ豊かに育ててあげられるか、ということです。
もし、感情や情緒が豊かに育っていなければ、その上に、どれだけたくさんの知識を積み上げても、頭でっかちで、不安定な人間になってしまいがちです。
『喜怒哀楽』といった人間らしい感情を豊かに表現する力、他人の気持ちが分かり、いたわってあげようとするやさしさ、そんな心の豊かさこそが、人生をいきていく上で、最も大切な土台となるのではないでしょうか。
では、子どもの心を豊かに育てるには、どうすればよいのでしょう?
それには、人間と人間のふれあい、特に幼いころの『親と子のふれあい』が大切です。
絵本を読んであげる時間は、親と子が素直に肌と心を接する時間です。
絵本の中の豊かで」やさしいことば、感動や発見の喜びを、親は自分の声で、自分のものとして、子どもに語ってあげることができます。そして、語り手のことばや感動にふくまれた親の豊かな感情や愛情に子どもは敏感に反応し、心を豊かに育てていくのです。
●本が好きになる環境って?
子どもを本好きにするのは、決して難しいことではありません。子どもが、本を読むことを「おもしろい!」と思ってさえいれば、たとえ大人に禁止されても、隠れてでも読むでしょう。つまり、子どもに、「本ってなんて面白いものだろう」と実感させてあげればよいのです。
そのために、絵本を読んであげてほしいのです。大好きなお母さんやお父さんに、絵本を読んでもらう時間は、かけがえのない楽しい時間なのです。そんな時間が多ければ多いほど、子どもは本に親しんでいくのです。
お母さんやお父さんの読み聞かせが、子どもに『本の世界の扉』を開いてあげる役割を果たすのです。
『読書』とは、決して『文字を読むこと』ではなく、本の世界の中に、我を忘れて入りこみ、楽しむことなのです。
「読めるはずなのに、ちっとも本を読んでくれません」となげく前に、身近に本を置き、たくさん読んであげることで、子どもに『読書の楽しさ』を教えてあげることが大切なのではないでしょうか。
読み聞かせで楽しい子育てを
●『読書』は成長していきます。
読み聞かせをとおして、『本は、楽しいもの』という意識をもった子どもは、早くて幼稚園ぐらいから自分で本を読みはじめます。
お母さんやお父さんの読み方をまねながら、声に出してお気に入りの本を読んだり、弟や妹、友だちや、時にはヌイグルミに、読み聞かせをしてあげたりもするでしょう。
そうやって本と親しんでいく中で、子どもは『発見』に出合い、『笑い』『悲しみ』、そして『感動』に出合い、ほんの世界がどんどん深まっていきます。
本の中で体験したいろいろなことは、子どもの『自我の形成』『人格の形成』に大きく役立てられていくでしょう。読み聞かせや読書をとおして、たくさんの感動や発見を体験すればするほど、より強く、確かな『人生の土台』を築くことができるのです。
小学校高学年や中学生ぐらいになると、それまでにつくりあげた土台から、大きく人生に羽ばたいていく時期がやってきます。
また、このころには、児童文学や伝記科学やノンフィクションなど、より高度な本を、どんどん読んでいってほしいと思います。それらの本は、人生を生きていく上で大事な『糧』を、たくさん与えてくれることでしょう。
本を読む楽しさを知っている子どもなら、それらの本の世界に、まったく抵抗なく入っていくことができます。また、その本を自分のものにすることもできるでしょう。
『自分のものにする』ということは『本と対話する』ということです。本の中に自分を見つけ、その『本の中の自分』と対話することです。
『本を読む』ことの楽しさを知り、本と対話することができれば、すばらしい感動を受けたり、知識を広げて、自分の人生を送るうえで大切な何かを見つけだすこともできるでしょう。そしてその読書体験を、自分の人生を歩んでいくための生きた『糧』としていけるのです。
でも、本を読むことになれていない子どもに、年齢相応だからといきなり本を与えても、それは『活字』を読む作業でしかなく、苦痛に感じてしまうのです。字が読めるのですから、最後まで読むことはできるでしょう。でも、その『作業』からは、何も生まれないのです。
子どもが本好きになるには、親が子どものために、どれだけ豊かな『本に親しめる環境』をつくってあげるかによるのだ、ということに目を向けていただきたいと思います。
●読み聞かせは親も楽しめる時間
育児や家事の時間は、子どもや家庭のために費やす時間です。いそがしい時など「自分の時間が子どもにとられている」といら立ち、自分だけの時間がほしいと思うこともあるでしょう。
でも、子育ての時間が、子どものためだけの時間ではなく、子どもといっしょに親も楽しめる時間ならば、自分のための時間にもなるでしょう。『読み聞かせタイム』とは、そういう時間なのです。
絵本を読んであげた時の子どもの反応や子どもが発した言葉、楽しく交わした会話、感情の交流。子どもといっしょにドキドキしたり、ワクワクしたり、笑ったりすることは、親にとって本当に楽しいひとときです。それは我が子の成長を見る楽しみ、子どもの心が豊かに育っていることを実感する喜びなのです。
●お父さんも読み聞かせを!
さて、ここでいいたいのは、「お父さん、積極的に読み聞かせをしてあげてください!」ということです。普段は、少し気恥ずかしくても、本を通してなら、気軽にふれあえるのではないでしょうか。
仕事にいそがしいお父さん、帰宅してから、または休日など、時間を見つけて、読んであげてほしいのです。
それだけで、お父さんと子どもの心は、近づくはずです。子どもが大きく成長してからも、『いいつきあい』ができるはずです。
子育てはお母さんだけの仕事ではありません。特に、子どもが大きく成長し、中学生や高校生になった時、お父さんと自分の将来のことなどについて、気安く、心から話しあうことができる関係ができているかどうかが、とても大切なのです。
お父さんも、お母さんに負けないで、子どもと、たくさんふれあって下さい。

あかね書房
あすなろ書房
アリス館
岩崎書店
偕成社
学習研究社
河出書房新社
金の星社
銀河社
好学社
国土社
こぐま社
小峰書店
さ・え・ら書房
新日本出版社
童心社
のら書店
評論社
福音館書店
フレーベル館
文化出版局
文溪堂
文研出版
ほるぷ出版
ポプラ社
光村教育図書
らくだ出版
リブリオ出版
理論社
(五十音順)
選定委員
黒沢 浩
- 聖学院大学特任講師
- 日本子どもの本研究会会長
- 全国学校図書館協議会参事
野村 昇司
- 神奈川県逗子市元教育長
- 児童文学作家
- 日本子どもの本研究会会員
坂内 登美子
- 日本子どもの本研究会会員
- 科学読物研究会会員
代田 知子
- 公共図書館主査
- 日本子どもの本研究会会員
- 児童図書館研究会会員
佐藤 宗夫
- 幼児と文学研究所所長
- 日本子どもの本研究会会員




